不二夫は大まじめパパだった?!(1)

 幼い頃からいっしょに過ごす時間が少なかったこともあって、わたしはパパから説教じみたことを言われたり叱られたりした記憶がありません。それでも何回かは「お、なんか父親らしいじゃん」と感じたことがありました。

 わたしが20代のはじめの頃、突然パパは「他人のメシを食ってこい」と言ってわたしに役者の仕事を持ってきました。

 若いころから「マンガ家になりたい」という夢に向かって一途に努力してきたパパからみると、やりたいことが見つからずふらふらしている当時のわたしにもどかしさがあったのかも知れません。

 あいにく芝居の才能と面白みを発見することはできませんでしたが、1年半の「他人のメシ」はわたしの視野をおおきく広げてくれました。